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外国語の散歩道

ヨーロッパ

西シベリアからスカンジナビア半島北部にかけてユーラシア西部の寒帯はウラル語族(34語)(2400万人)の世界です。ウラル語は母音調和などアルタイ諸語と似た特徴を持っています。まず西シベリアからヨーロッパ・ロシアの北極地帯にはサモイェド語派(6語)(3.5万人)のネネツ語などが分布しています。西シベリアでその南にはハンティ・マンシ自治区にウゴル語派(3語)のハンティ語(2.1万人)、マンシ語があります。その一派マジャール人(1400万人)は西に移ってハンガリーを建てました。最後のフィン語派(25語)には、ロシア国内のマリ(チェレミス)語(64万人)、モルドヴァ語(110万人)、ウドムルト語、コミ(ズィリエン)語(72万人)、西に移ったフィンランド(スオミ)語(600万人)、エストニア語(100万人)、ラップ(サーミ)語(5万人)があります。ウラル語は本来SOV型ですが、ハンガリー語、フィンランド語などは周りの印欧語の影響でSVO型に変わりました。

ヨーロッパ東北部、ウラル人の南西側には印欧語族(425語)(22億人)のスラブ語派(18語)(2.9億人)が分布しています。東スラブ語派のロシア語(2.9億人)、ウクライナ語(4600万人)、白ロシア(ベロルシア)語(1000万人)は方言といえるほどよく似ていますが、これはかってキエフ・ロシアの分裂後、タタール、キプチャック汗国の支配下にあった大ロシア、ポーランドの支配下にあったウクライナ、西隣のリトアニアの支配下にあった白ロシアで言葉が分化したためです。いずれもキリル文字、いわゆるロシア文字を使っています。西スラブ語派は、ポーランド語(4400万人)と、チェコ語(1200万人)、スロヴァキア語(500万人)です。後二者はよく似ています。南進してバルカン半島に入った南スラブ語派には、セルビア・クロアチア語(2200万人)とスロベニア語(200万人)があります。セルビア語はキリル文字を使用し、ギリシア正教徒のセルビア人、モンテネグロ(ツルナゴーラ)人とイスラム教徒のボスニア人が話し、クロアチア語はローマ字を使い、カトリック教徒のクロアチア人が話していますが、全く同じ言語です。元々は同じ民族が、異なる外国の支配を受け、異なる宗教を信奉したために分かれたのです。同じ語派のブルガリア語(900万人)とマケドニア語(200万人)はよく似ています。どちらも正教徒で、キリル文字を使っています。スラブ語には、古代教会スラブ(古代ブルガリア)語がありますが、ロシア語が最もその形を保っているようです。南スラブ語は、語形が短くなっています。バルト海東岸のバルト語派(2語)は、スラブ語派に近く、リトアニア語(300万人)とラトビア語(150万人)がこれに属します。リトアニア語は印欧母語のアクセントを残していると言われています。ラトビア語はリトアニア語によく似ていますが、語形がよりすっきりしています。

ギリシア語(1200万人)とアルバニア語(500万人)はそれぞれ単独で印欧語族の一語派を構成しています。ギリシア語は古代ギリシアの後も、十五世紀まで続いた東ローマ帝国の公用語として使われてきました。

ラテン語から分かれたものがロマンス語派(47語)(5.8億人)で、イタリア語(6300万人)、スイスのレト・ロマン諸語(80万人)、イベリア半島のスペイン(カスティリア)語(3.7億人)、カタロニア語(900万人)、ポルトガル語(1.8億人)とガリシア語(400万人)、フランスのラングドック(プロヴァンス)語(400万人)とフランス語(1.2億人)、バルカンのルーマニア語(2600万人)があります。ルーマニア語は周りのバルカン諸語と同様に定冠詞が後置されます。

ピレネーのバスク語(93万人)はかってはアキタニアまで広がっていましたが、近くに関係のある言語がない孤立した言葉です。フランシスコ・ザビエルらが出ています。

ゲルマン語派(37語)(4.2億人)はヨーロッパ西北部に分布し、北ゲルマン語にはスエーデン(900万人)、デンマーク(500万人)、ノルウェイ(400万人)、アイスランド(25万人)の諸語があります。アイスランド語はサガ、エッダなどの文学を千年前から伝え、現代語も古代語から余り変化がないそうです。東ゲルマン語には今は滅びたゴート語が属します。西ゲルマン語には、英語(4.6億人)、ドイツ語(1.2億人)、オランダ語(2100万人)などがあります。英語はノルマン・コンケスト以来のフランス語の影響で、語彙だけでなく、文法も大幅に簡素化しましたが、かってのアングロサクソン語はアイスランド語と同様に変化します。ベルギーのフラマン語はオランダ語と同じで、南アフリカのアフリカーンス語(1000万人)はオランダ語が簡略化したものです。

ケルト人は、かってはイタリア北部からフランス、イベリア半島に広がっていましたが、大陸のケルト人はすべてローマ人などに同化しました。現存のケルト語派(7語)(950万人)には、まずアイルランド語(26万人)とそれがスコットランドに移ったスコットランド・ゲール語(9万人)があります。アイルランドは千数百年前から文字文化の伝統を持ち、ヨーロッパ文化の暗黒時代にキリスト教文化の発信地でした。ブリタニア語の系統を引くものは、ウェールズ語と、イギリスからブルターニュ半島に渡ったブルターニュ語(50万人)です。ウェールズ語にも古くからの文学伝統があります。

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