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外国語の散歩道

南アジア

インドはデカン半島の南部にはドラヴィダ語族(78語)に属する人々が2億人もいます。紀元前後からの文学伝統を持つタミル語(6800万人)を始め、アーンドラ州のテルグ語(7200万人)、カンナダ語(4300万人)、ケララ州のマラヤラム語(3500万人)がそれぞれ数千万人の話者人口を擁し、州の公用語として有力です。日本語と同じ語順で、互いに似ていますが、厄介なことに文字はそれぞれ異なります。遙か離れたパキスタンの西部カラート付近にはブラフイー語(80万人)があり、アラビア文字を使っています。その分布状況から、ドラヴィダ人は西から来たと想定され、インダス文明さらにはシュメル人との親縁関係を唱える説もあります。

インド亜大陸の他の地域には印欧語族インド語派(219語)が分布しています。その諸言語は、サンスクリットの昔からドラヴィダ語の影響を強く受け、語順も日本語型になり、多くの現代語では助詞まで後置詞を使っています。ヒンディー語(4億人)とウルドゥー語(1億人)は文法は全く同じですが、前者はデヴァーナーガリー文字を使ってサンスクリット系の語彙を使用し、後者はアラビア文字を使いアラビア・ペルシア語系の語彙を多用しています。ベンガル語(1.9億人)はデヴァーナーガリーとやや異なるベンガル文字を使用し、文法もヒンディー語と異なります。パンジャーブ語(8400万人)、マラータ語(6800万人)も有力です。ネパールのネパール語(1600万人)はデヴァーナーガリーを使っていますが、スリランカのシンハラ語(1300万人)は独自の文字があります。ネズミが何匹もいる可愛い文字です。

西アジア

その西のイラン、アフガニスタンは印欧語族イラン語派(81語)(8000万人)の地です。この語派はかってはスキタイ人、ソグド人など中央アジアにも広く分布していました。タジキスタン山中のヤグノービー語はソグド語の末裔と見なされています。数年前にテレビでソグド人の末裔が発見されたと大騒ぎしていましたが、学界では以前から知られていたことです。北コーカサスのオセット人は遊牧民スキタイ人、アラン人の末裔と目され、自称は「イロン(<イラン)」です。イラン語派の代表ペルシア語(3400万人)は、古代ペルシア語以来の伝統を持つと共に、かっては中央アジアやインドで公用語、文化語として広く使用され、膨大な文献を残しています。ペルシア語は、発音が易しく、アラビア文字を使う点以外は学びやすい言葉です。ロシア文字で表されるタジク語(500万人)や、アフガニスタンのダーリー語もペルシア語の変種です。他の有力な言語には、アフガン人のパシュト(プシュト)語(2500万人)や、クルド語(1300万人)、バルチ語(500万人)があります。いずれもイスラム教徒で、旧ソ連領内を除きアラビア文字を使っています。

チュルク諸語(40語)(1.1億人)は小アジアの他、中央アジアとその周囲に広がり、大部分がイスラム教を採用しています。古くは突蕨のルーン文字、アラム文字系のウイグル文字を使用し、西遷後はアラビア文字を使っていましたが、現在はトルコではローマ字、旧ソ連領内ではロシア文字を使用し、中国新彊のウイグル語だけがアラビア文字を改良して使っています。文法は人称変化がある他は日本語と同じですが、母音調和があり短母音が殆どなので、聞き取りは難しそうです。互いによく似ており、かなり通じるそうです。東部派にはウズベク語(1600万人)とウイグル語(800万人)があります。ウズベク語は先住民のイラン語の影響で母音調和がなくなってしまいました。南部派は、テュルクメン語(350万人)、アゼルバイジャン語(1500万人)、トルコ語(5800万人)です。テュルクメン人はアフガニスタンとイラン北部にも、アゼルバイジャン人はイラン西北部にも住んでいます。西部派には、カザフ語(800万人)、キルギズ語(200万人)、ノガイ語など北コーカサスの諸語、ボルガ中流のタタール語(800万人)、バシキール語(150万人)があります。タタール人はキプチャック金帳汗国の後裔です。その近くのチュヴァシ語(200万人)は、他のチュルク語からかなり以前に分かれたもので、ブルガリアへ移住せずに残ったブルガール人の後裔と目されています。東欧には、リトワニアにユダヤ教徒のカライム人、モルダビアにキリスト教ロシア正教徒のガガウズ人がいます。

コーカサス諸語の代表は、南コーカサス(カルトヴェリ)語族(5語)のグルジア語(400万人)です。子音に三系統があり、また能格をもつなど遙かピレネーのバスク語との類似が注目されています。五世紀頃からキリスト教を採り入れて文字をもち、長い文学の伝統があります。北コーカサス語族(34語)(350万人)には、西部のチェルケス(カバルダ、アディゲ)語(50万人)、アブハズ語(10万人)、中部のチェチェン語(86万人)、イングーシ語(20万人)、東部のアヴァール語(55万人)などがあります。アルメニア語(500万人)は単独で印欧語族アルメニア語派とされ、やはり五世紀頃から文字をもっています。古代にペルシアとの関係が深かったため、イラン語からの借用語が沢山あるそうです。かってはトルコ東南部の地中海岸にもキリキア王国を建てていました。紀元前十数世紀に小アジアにはヒッタイト語などのアナトリア語派がありました。紀元前六七世紀のリディア語、リキア語もその末裔と言われています。

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